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J-オイルミルズが2018年秋季新商品試食会

 J-オイルミルズは7月24日、東京・八丁堀にこのほど開設したおいしさデザイン工房(37頁参照)において、2018年秋季家庭用新商品試食会を開催した。
 新商品の説明を行った油脂事業本部油脂事業部の越川健一家庭用グループ長は、はじめに家庭用食用油市場について「この約10年間の歴史を振り返ると大きく様変わりしている。2007~17年度の推移を見ると、重量ベースに関しては若干右肩下がりの傾向があるが、金額ベースではオリーブ油、ゴマ油、昨今特に注目を浴びているコメ油、エゴマ油、アマニ油等のプレミアム油といったいわゆる健康価値と調味価値を持った強いカテゴリーが全体の7割を占めるに至っており、ひと頃、家庭用のキャノーラ油・サラダ油を中心とした市場構成を考えると全体の様相が変わってきた」との見方を示した。
 一方、生活者の目線に立ち返れば「2002年の段階では毎月1,000g以上、食用油を使用するヘビー層が3割を超えていた。ミドル層に関しても2カ月に1,000g程度は使用していたので、半数以上の人が何らかの形で油調理に親しんでいた。当時は1,500gサイズという大きなサイズも販売していたので、家庭内での油の調理は比較的ヘビー層を中心に調理されていた時代だった。しかし、2017年には年間で約2,000g程度のライト層が過半数を占めるに至っており、さらには油を揚げ物で使用する人は、オイルポットで平均3回くらいは使用する人が主流だったのが昨今では1回で捨ててしまう人が大多数を占めている。したがって、油の使用量以上に家庭のフライで活用する油は現実としてはかなり減ってしまっていると捉えている」という。ただし、家庭での在庫本数はやや右肩上がりで推移しており、「特にオリーブ油とゴマ油が家庭に浸透してきていることから、例えば、炒め・調理油がひとつあって、ゴマ油、オリーブ油、もしくはフレーバーオイルをいくつか取り揃えて、在庫本数自体は右肩上がりである。在庫本数が多いということ、ゴマ油とオリーブ油を同時に持っていることは、調理によって、オケージョンによって油の使い分けが徐々に浸透しているあらわれで、生活者の中でそれぞれの油種の使い方をきちんと捉えて提案していくことが重要」とみている。
 こうした市場環境や生活者の使用実態を把握した上でJ-オイルミルズは生活者の目線に立って商品開発やプロモーション活動を継続していく方針だ。「当社が大切にしているキーワードは、1)あぶらで『美味しく』、2)あぶらで『美味しく健康に』、3)あぶらを良い状態でお使い頂く──の3点。油を主体にしているメーカーなので、“あぶら”というキーワードを持ちながら、食生活に提案するベースとしてのおいしさ、さらには生活者ニーズが高まっている健康、油メーカーならではの“あぶら”の良い状態、新鮮な状態でお使い頂くような提案──この3つをベースに活動を進めたい」と越川氏は語った。

 小売店の食用油棚を見たときに、越川氏が注目するのは、食用油商品は長年、原材料を商品名に表記するものが多くを占めてきたことだ。例えば、ナタネ(キャノーラ)油、コーン油、べに花油など原料を主体としながら、パッケージもその原材料の絵をモチーフにしたものが非常に多いことが食用油のカテゴリーの特徴だった。「ただ、顧客ニーズが変わってきたので、当社では例えば『AJINOMOTO コクとうまみの大豆油』では、から揚げをモチーフに、『AJINOMOTO バターフレーバーオイル』ではオムレツのシズルを演出しており、各商品のおいしさ、顧客のオケージョンに合わせた商品設計、商品提案を今後も進めたい。まだいくつか新商品を来春に向けて準備しているが、大きく様変わりさせたい」との意気込みを示す。
 売場の様変わりに向けた助走期間というわけではないだろうが、2018年秋季家庭用新商品においてもそうしたコンセプトへ舵を切ってきたのは明らかだ。
 まず、“香り立つ”新商品2品を8月下旬より発売する。「AJINOMOTO 香り立つパラっと炒飯油」(70g瓶)は、「すでに得意先の早いところではプレゼン等が進んできている。発売前に一般生活者にホームユーステストを行った中で、炒飯を家庭で作る際の一番の課題に、冷凍ご飯を使うゆえにフライパン調理の段階でまったくパラっとしないという不満点が予想以上に出てきた。このパラパラ感を実現することと、最後の仕上げに、当社が業務用の技術として持っている香味油の技術を上手く活用して、機能的でもあり、おいしさも実現できるという家庭用では初めての商品になっている」という。従来、フライ耐性に優れたり、炒め調理が簡単にできるといった機能性だけを謳う商品はあったが、おいしさと機能性を兼ね備えた商品は今回が初めてである。
 「AJINOMOTO 香り立つパラっと炒飯油」は、炒め油として調理の最初に使用することで、ご飯一粒一粒をコーティングするので、ご飯がパラっとほぐれやすくなる。また、仕上げ油として最後にひとかけすることで、4種の香味油(焼豚、焦がし醤油、焦がしにんにく、ねぎ)の香りが立ち、おいしい炒飯に仕上がる。
 「AJINOMOTO 香り立つ花椒(ホアジャオ)油」(100g鮮度キープボトル)については「昨今、花椒油が大きなブームのひとつになっており、花椒という検索キーワードは消費者の中で高い上昇率で浸透している。すでに業務用商品として『J-OILPRO プロのための調味油』シリーズから<花椒油>を発売しており、世間一般に目を移しても“マー活”という言葉の通り、花椒が生活者の中で一大ブームになっている」という。
 「AJINOMOTO 香り立つ花椒油」は、花椒の芳醇な香りと程良いしびれが、絶妙なバランスの香味油で、麻婆豆腐などを香り高く本格的な味わいに仕上げることができる。適量を出しやすく、開封後も中身の鮮度を守る鮮度キープボトルを採用しているため、好みに応じて香りや辛さを調整することができる。
 また、「J-OILPRO」シリーズの<花椒油>についてもさらに幅広い業態での使い勝手を考慮して、既存の1,000gエコボトルに加えて、新たに少容量の300gペットボトルを新発売する。花椒の香りを油に抽出する際に、高温過ぎたり長い時間をかけるとエグみや苦味が出てしまうが、日本人の舌に合うようそうした嫌味がなく、料理に少し入れるだけで爽やかな香りが口に広がる清涼感のような香りまで実現している。この業務用とまったく同じ風味で、家庭用では卓上で使いやすい100g鮮度キープボトル容器で発売する。
 そのほか、おいしさに加えて健康を意識した「AJINOMOTO アマニ油入りごま油」と「AJINOMOTO えごま油入りごま油」を8月下旬以降に出荷開始する。