20年目を迎えた三洋化成工業の化学の出張授業
posted on : 2018.11.12
三洋化成工業は、化学企業の特性を生かしたCSR活動の一環として、毎年、小学校への化学の出張授業を実施している。1999年に創立50周年記念事業として本社近隣の小学校2校で化学の出張授業を始めてから、次第にその規模や地域を拡大し、2014年からは名古屋地区、15年からは鹿島地区といった生産拠点のある地区での出張授業も行っており、その活動は今年で20年目を迎えた。
2017年度の実施実績は合わせて103件(小学校・イベント)、174回の授業回数、5,294名の児童を対象にするにまで至った。授業を受けた生徒の中には、この化学の出張企業がきっかけで化学に興味を持ち、同社へ入社した人もいるように、子どもたちの理科離れへの対応や、文科省が推進する“キャリア教育”への協力を目的に実施しているものだ。
10月18日に京都府宇治市の西大久保小学校6年生を対象に行われた出張授業では、同社若手社員の市之瀬由莉氏、星山祐城氏、吉田浩明氏、福田有貴氏が“身のまわりで活やくする化学の力”をテーマに合計5つの実験を指導あるいは実演した。
1)「色をわけよう」では、水性マジックのインクを紙と水を使って分離し(ペーパークロマトグラフィー)、その原理を説明した。2)「きれいな水を取り出そう」では、カオリン(粘土)を溶かした水に凝集剤を加え、その効果を観察した上で、原理や用途について解説した。3)「泡ってなんだろう」では、水と鉱物油が洗剤の働きにより混ざる様子を観察し、界面活性剤の働きと身近な例を説明した。また、過酸化水素と洗剤を使って、界面活性剤で泡立ったところに、ヨウ化カリウムを加え、泡が消えていくところを観察し、消泡剤の働きを説明した。4)「スポンジを作ろう」では、クッション等に使われるウレタンフォームの合成をポリオールとイソシアネートを用いて実演した。硬さや形を調整することで色々な製品ができることや、環境への貢献についても紹介した。5)「魔法のこな」では、高吸収性樹脂(SAP)を使った手品を披露した上で、SAPの給水実験を行い、吸水の仕組みやSAPの種類による吸水速度の違い、吸水したSAPに食塩を加えた場合の変化などを確認し、おむつや猫砂、保冷剤、カイロ、消臭剤といった様々な用途に用いられていることを紹介した。