日清オイリオグループ㈱2018年度第2四半期決算説明会
付加価値カテゴリーの利益飛躍へ着々と
posted on : 2018.12.16
日清オイリオグループは11月14日、東京・中央区の同本社で2018年度第2四半期決算説明会を開催した。上期の連結業績は売上高1,722億6,200万円(前年同期比3.3%増)、営業利益62億900万円(同31.9%増)、経常利益70億300万円(同56.1%増)、四半期純利益48億3,800万円(同39.4%増)の増収増益となった。主に油脂・油糧および加工食品事業において販売数量・単価ともに上昇したことが増収の要因。利益面では、加工油脂事業が前年実績を下回ったが、油脂・油糧におけるミール販売を含めた採算改善と、油脂の適正価格での販売が増益に寄与した。
中期経営計画の進捗状況を説明した久野貴久社長は、まず「2018年度については、着実に営業利益108億円を達成していくこと、それから2020年度については(営業利益)130億円を確実にこれも達成していく」ことを強調した上で、2018年度上期については「汎用カテゴリーの収益安定、付加価値カテゴリーの収益の積み増しが寄与している。その汎用品については、需要増に対して特に中食・外食向けのマーケットが対象だが、しっかりとした提案活動、ユーザーサポート活動を継続することによって、適切な価値を認めてもらい数量の拡大に努めている。この辺りが着実に成果につながり、上期の実績を得た」と語った。
同社グループ全体の付加価値カテゴリーの利益計画、目標は、2013年度実績を100とした指数で17年度は130まで高めてきており、18年度は138、20年度は165へと拡大を目指している。今年度の計画達成については「それなりの確度」と久野社長は自信を示した上で、2020年に向けた見通しを説明した。まず加工油脂セグメントでは、このほど同社は子会社のISF社が70%出資する形で、イタリアの油脂精製会社であるATICI社への出資手続きを完了した。ジェノバ港に面しISF社から欧州向けに販売する製品の精製、保管を行うほか、消費地に拠点を持つことで、顧客への迅速な対応やサービス拡充の実現を図る狙いがある。19年度から稼働を始める計画で、5年後には、ISF社でのメリットを含めて3億円の利益貢献を目指す。「そんなに規模感が大きいわけではなく、将来の貢献がどれほどの規模感になるかはこれからだと思うが、欧州での市場獲得を図る中で、もう少し近い拠点の展開、品質保証、ユーザーサポートの機能を高めて取り引きの安定化を図りたい。攻めと守りの両面からこの取り組みをしていこうということだ。将来的にはもう少し色々な機能を付けて行こうと思っているが、現状の機能としては精製(と保管)だけなので、そこから生まれるものはそんなに大きくない。できるだけISF社の欧州向けの商売のボリュームを確保する、あるいはATICI社をテコにして積み上げていく、そのサポートという位置づけになる」という。
また、インドネシアのIndoagri Daitocacao社のチョコレート工場については「ほぼ計画通り建設が進んでいるので、2019年度(4月)の稼働に向けて準備を進めている」としており、市場が拡大するインドネシアをはじめとする東南アジアで、サリムグループの持つ強固な販売力を活用して、5年後に3億円の利益貢献を目指す。
一方、2020年度までの収益貢献という点では、「まず、ISF関係で欧州向けの数字を着実に伸ばしていくことは従前通りだが、ここへきてチョコレート油脂関連の新規の取り組みが漸くできてきた。新規ユーザーの獲得や新商品の拡売が2018年度にスタートできている。19年度、20年度に着実に積み上げ、収益貢献を果たしていく。それから、国内チョコレート事業もこの夏場に増産に向けた能力増強を終えた。試運転や当初目論んだ規格の充足など一部については足元で行っているが、19年度、20年度に向けて実稼働させ、収益貢献を考えている」という。ISF社の精製能力増強は2019年度上期に完了予定、大東カカオのチョコレート増産は2018年下期に完了予定となっている。なお、横浜磯子の加工油脂製造の老朽化対応などに対する設備投資も今年度上期に完了した。
加工油脂セグメントの営業利益は2017年度の46億円に対して18年度は37.5億円に減少する見通しだ。その要因は2つある。「ひとつはパーム油の市況の低迷。特にインドネシアの大幅な増産にともなうパーム油需給の大幅な悪化と、結果として各国政府の輸出税の対応等、色々な措置が取られる中で精製マージンが極めて悪化している。一方で、国際的に見るとオイルの供給量が増えているので、これが回り回って国際的なオイルバリューの低下に繋がっている。結果的には(ミールバリューの上昇による)搾油採算の改善に繋がっており、ある意味、搾油のところで国際的にはマクロで見ると打ち消し合っている。もうひとつは為替の要因で、マレーシアのISF社はリンギット建ての決算である。プレミアム商品の販売はドル建てで行っているので、リンギット高が年央まで、あるいはその後も若干続いたことからリンギットベースでのマージンを低下させている。最終的に円転するときの為替はそんなに変わっていないので、ドルが大きく影響した。商売上の構造的な要因というより、需給・為替の問題なので、これが将来も継続しないとは限らないが循環はあるので、この辺りは回復してくるという前提」と述べ、2020年度の加工油脂事業の営業利益は17年度水準を上回る49億円を計画している。
付加価値カテゴリーの利益を伸ばすもうひとつの大きな柱は、「かけるオイル」の販売拡大とホームユース市場の活性化にかかっている。「かけるオイル市場については、当社が率先して市場創造を図ってきた。あわせてその中で市場シェアを獲得してきている。『鮮度のオイル』シリーズなど新商品の投入等々を行ってきている。かけるオイル市場については、2013年度200億円弱の市場を20年度には約2倍の400億円(いずれも同社推定)に積み上げて、一定のシェアを獲得していく。18年度上期は、当社においてはアマニ油、オリーブ油、ゴマ油辺りが牽引したので、市場の伸び以上に伸びた。結果的に市場シェアは当社試算で22%程度ではないか。この辺りは上手く回ってきた」と自信を覗かせた。