ライオン会総会で掬川新社長が経営方針示す
posted on : 2019.03.12
ライオン会と薬品ライオン会は2月5日、東京・内幸町の帝国ホテルで「2019年ライオン会総会」を開催した。
はじめに、ライオンの濱逸夫会長が挨拶し、市場環境変化が速い中で、ライオンは「既存事業を進化させてより強くする経営力、そしてもうひとつはイノベーションによって新たな成長機会を捉えて新規ビジネスを獲得する経営力の2つを常に磨いて実行に移すという大変難しい“両利きの経営”を磨いていかないといけない」と述べた。先がわからない不確実性の時代を乗り切るため、ライオンは今年1月から濱代表取締役会長(CEO)、そして掬川正純社長(COO)に就任し、新たな経営体制へと移行した。濱会長は「2012年からライオングループを牽引してきた7年間で一定の企業成長を実現し、社員も自信が芽生えてきた状況にある。しかし、その進化をここで止めるわけにはいかない。新たなシフトチェンジをして、さらなる高みを目指す」と力強く語った。
同社は、2030年のビジョンを「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」と定め、2020年までの中期経営計画「LIVE計画」を推進している。このビジョンの実現に向けて「ライオンは世界で戦える企業、世界基準の会社に生まれ変わりたい。そのために、卓越した現場力によって既存事業の拡張を進化させることと、同時に複数の強力な成長エンジンを持つ必要がある。これを実現するためのキーワードはスピードである。掬川新社長は、卓越した手腕と戦略眼、人を引きつける人間力がある。既存事業の拡張と進化をより高いレベルで、より速いスピードで実現することをミッションとする。そして私はCEOとして、これまでの経験を活かしながら、ライオングルプ全体の経営マネジメントを統括するとともに、ライオンの複数の協力な成長エンジンを獲得するために、中長期の価値創造や成長戦略の実現に全力を尽くしたい」と役割分担について説明した。
続いて、ライオンの掬川社長が経営ビジョンと経営方針について説明した。
日本における平均寿命と健康寿命に大きなギャップがある中で、ライオンが実現することとして掬川社長は「人々が身体的、精神的、社会的に満ち足りた毎日をおくれるようにサポートしていきたい。これが、2030年に向かって目指していく姿」との考えを示した。同社は例えば、オーラルケア分野では「クリニカ」ブランドを中心に歯科医院で提供されるプロケアに、自宅で行うセルフケアを組み合わせることで口腔内の健康レベルをより高い次元で維持する予防歯科活動を推進してきた。現在、口腔内の健康状態が全身健康に強く影響することが知られ、身体的な健康状態をより高い次元で維持することに同社は大きく貢献している。また、精神的な健康、すなわち幸福の実現については「もっと人々の間で豊かなコミュニケーションが活発になれば良い」と考え、「NONIO」ブランドを中心に口臭ケアに関する様々な解決策を提供することによって、生活者のリアルなコミュニケーションに役立つ取り組みを進めている。
同社は、次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーを目指す中で「毎日の習慣を、もっとさりげなく、楽しく、前向きなものへ“リ・デザイン”することで、一人ひとりの心と身体のヘルスケアを実現していきたい」という。歯磨きも手洗いも洗濯も、しなくてはいけない義務のような生活習慣になってしまっていることを変えるために、新しい提案をライオンは続けていく考えだ。
同社は「LIVE計画」の業績目標として、2020年度の売上高4,000億円、営業利益400億円、営業利益率10%などの数値目標を掲げている。「定量的な経済価値を追い求めるだけでなく、社会的価値をしっかり追求し、ライオングループとしての企業価値を高めていきたい」と掬川社長は強調した。