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バズる商品生み出すマリンフード
チーズやマーガリン・バターの販売好調に

 マリンフードの売上高は、2018年12月期に前年比12.8%増の224億円と過去最高を記録したが、今年1~4月は前年同期比17%増と昨年の伸びをさらに上回る好調な推移を見せている。売上高で約7割の構成比を占めるチーズが21.4%増と引き続き大きく拡大していることに加えて、マーガリン・バターも11.0%増と勢いがある。ホットケーキやその他については5%前後減少しているが、主軸2事業が大きく業績を押し上げている。
 チーズについては、特にストリングチーズの販売が増えている。家庭用の「私のストリング モッツァレラ」シリーズやPB商品に加え、業務用の「クッキング モッツァレラ」の採用が居酒屋や寿司、和食レストランのチェーン店などで進んでいる。裂いて食べられるだけでなく、耐熱性がありながらとろ~り溶ける特長を生かして衣を付けて揚げたり、切って鍋料理に入れるなど、幅広いメニューにアレンジできることから好評を得ている。
 ストリングチーズだけでなく、ベビーチーズやスライスチーズ、「かけるチーズ」などのシュレッドチーズを含め、チーズ全般の動きが良い。
 一方、マーガリン・バターでは、一昨年は「たらこスプレッド」、昨年は「私のフランス料理」といったスプレッドがSNSでの口コミ拡散やテレビ番組で紹介されヒット商品になったが、今年はポンドタイプの「ミルクを食べる乳酪バター」の出荷が急増している。「たらこスプレッド」と「私のフランス料理」は、商品としての独自性が高いことと、家庭で定番レシピからアレンジメニューまで幅広く簡単に作れることが共通した特長だ。カルディのように、唯一性のある商品を品揃えするような限られた小売チェーンにしか当初は定番化されていなかったが、こだわり商品を選んで買い、試してみる関心度の高い消費者が使ってみておいしいとSNSに上げ、これなら私も作れそう、買ってみようと思わせる商品力があるからこそ、単純な情報拡散に終わらず、ヒットに繋がった要因だろう。
 「ミルクを食べる乳酪バター」も同様に、量販店では見慣れないことからコストコなどで購入した人がSNSで紹介し、情報拡散するかたちで人気を呼んでいる。
 マリンフードは、自社ウェブサイトのレシピ頁の更新に力を入れるとともに、展示会やイベントに出展し、そこでもレシピブックの配布を積極的に行っている。大掛かりなPR活動を次から次へとできるわけではないが、こうした地道な努力がヒット商品を生む大事な下地だと見ている。今月も6月8日に、ストリングチーズを使ったアレンジメニューを動画配信して人気を博していた料理研究家のリュウジさんとコラボレーションし、「必見!リュウジさん×マリンフード バズレシピ満載イベント」を東京・世田谷区の二子玉川ライズ ガレリアで開催したり、6月1~2日には、神奈川県・川崎市の川崎ラ チッタデッラで開かれた「ハッピーママフェスタ」に出展し、試食販売を行った。
 商品開発会議には吉村直樹社長が参加し、レシピ開発は吉村厚美専務が中心となって手がけている。「当社が仕掛けたというより、お客様がPRしてくれて、じゃあ当社は頑張って作らなくちゃ、と。何か面白い商品を提供しているというのが伝われば」と吉村専務は控えめに語るが、そこにヒット商品を生む秘訣がありそうだ。