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アメリカ穀物協会がDDGSワークショップを開催

 アメリカ穀物協会は6月6日、東京・千代田区のザ・キャピトルホテル東急「米国産DDGSワークショップ2012」を開催した。米国、カナダのDDGS専門家と日本の飼料栄養専門家のあわせて4人が講演した。講演者とテーマは以下のとおり。
 ジェラルト・シャーソン博士(ミネソタ州立大学教授)「DDGSの動物飼料への使用に関する課題と解決策」、橋元康司氏(日本科学飼料協会)「とうもろこしDDGSの給与が産卵鶏の排泄物に及ぼす影響」、アルバロ・コルデロ氏(アメリカ穀物協会)「米国産DDGS 需給・価格分析」、マラキー・ヤング博士(ゴーワンコンサルタント社)「トウモロコシDDGSの繁殖豚への給餌」。

 シャーソン博士はDDGSの概要と養豚における給与効果を中心に講演した。「米国におけるDDGSは従来90%が乳牛に使用されてきたが、最近は研究成果が広く伝わり、養豚や家禽への使用が20~30%まで増加している。栄養特性とともに、飼料原料価格の高騰も相まって、コスト対策につながるDDGSの配合率は高まっている」と述べた。
 米国における飼料への配合率は、養豚では、幼豚や授乳中の豚で最大30%、生育期から仕上げ期の豚や妊娠中の豚で最大50%となっている。家禽用では「ブロイラーや産卵鶏に使用されることが一般的となってきた。推奨されるDDGSの配合率としては、エネルギー無調整の場合10%、アミノ酸とエネルギーを調整することで産卵鶏は20%以下、ブロイラーは24%以下の配合が可能だ」という。
 乳牛については、「研究データでは、従来より高い配合が可能なことがわかっているが、酪農家としては乳脂肪率が下がることを懸念する向きもあり、推奨配合率は乾物ベースで最大20%(DDGS4.5~6kg/日)となっている。嗜好性の問題はない。乾物ベースで30%配合した場合は、乾物摂取量や乳産量、乳たん白が減少することがある」と語った。肉牛用については「仕上げ期去勢牛に40%までのDDGSを配合した飼料を給与したところ、飼料価値は10%配合の場合が最も高く、40%配合の場合でも0%より高くなった。飼料価格が上昇している現状に照らせば、好ましい結果といえる。また、芯筋肉内の脂肪交雑スコアはほぼ変化がなかった」という。

 コルデロ氏は、エタノールとDDGSの生産設備の現状について「米国のエタノール工場は現在、212工場が設けられている。大半は原料の生産地であるコーンベルトに所在しているが、供給先への利便性からカリフォルニアやテキサス、アリゾナ州などにも工場が立ち上がっている」と述べた。昨年の米国におけるDDGS生産量は3,460万トンに対し、輸出量は764万9,202トンで約1/4を占めており、多くは米国内で消費されている。「国内の用途別では、酪農が39%、肉牛が38%、養豚が15%、養鶏が7%となっている。輸出については、2010年は902万7,043トンで、09年から大幅に増加した。中国向けが09年の50万トンから、10年には253万トンに急増した。昨年減少したのは、中国向けが反ダンピング訴訟の影響で139万トンにとどまった影響が大きい。ただ、これは6月末までに解決するだろう」との見解を示した。
 また、DDGSの価格動向についてコルデロ氏は「コーン相場がこの2週間で大きく下落したが、DDGSは底堅かった。ローカル市場が強かったことや、エタノール生産がスローダウンし供給が減ったこと等による」という。6月1日時点のコーン価格は247.03ドル/トン、DDGSは272.00ドル/トンとなっており、DDGSがコーンに対し約25ドルのプレミアムをつけたことは過去にないという。また、工場による品質のバラつきがみられることもあり、「たん白質や油分、水分、色など希望栄養プロファイルを指定した上で契約規格とすることが重要だ」と指摘した。
 DDGSの供給に影響をおよぼす潜在要因は様々あるが、供給面では「現在業界が政府と交渉、ロビー活動を行っているように、E10からE15へ移行するのか、再生可能エネルギー基準がどうなるか。また、工場の収益性や今期のコーン生産量、エタノール輸出がDDGS供給を左右する」とし、需要面では「米国飼養セクターの収益性がひとつの大きな要素。また、コーンの飼料とエタノール需要に向けられる割合もある。中国や韓国の輸入が2010年水準に戻るのか、サウジアラビアや北アフリカ向けの動向、トルコ向けのGM問題などが影響するだろう」と語った。