日本水産油脂協会が「水産油脂資源講演会」を開催
posted on : 2013.08.27
日本水産油脂協会は8月23日、東京・表参道の南青山会館で「平成25年度水産油脂資源講演会」を開催した。
今年は「世界のまぐろ類資源の概況とまぐろ類生物研究に関するいくつかの話題」(水産総合研究センター国際水産資源研究所くろまぐろ資源部・山崎いづみ研究員)、「水産養殖の現状と将来展望‐輸出の可能性について‐」(近畿大学農学部水産学科・有路昌彦准教授)、「マイワシ・サバ類の資源動向‐マイワシを中心として‐」(水産総合研究センター中央水産研究所資源管理研究センター・川端淳グループ長)という3題の講演が行われた。
最初の講演で、山崎氏は、まぐろ類の資源の概況と漁獲動向などを解説した。2002年以降、世界のまぐろ類の漁獲量は400万トン以上に達しており、近年は途上国の漁獲増加がめざましくなっていることを指摘した。また、まぐろ類の中で特にカツオとキハダの水揚げが多くなっており、カツオの水揚げは過去50年で10倍に、キハダは8倍に増加しており、近年の漁獲増はこれらの種の水揚げ増加によるところが大きいという。
2題目の講演で登場した有路氏は、最初にわが国の水産業の概況について説明した。水産物市場は1980年代頃に頭打ちしており、2000年代から縮小傾向がみられている。その要因としては、国民の実所得の減少、少子高齢化、安価な豚肉や鶏肉への需要の移動などが原因と有路氏は指摘する。そして、今後も需要の総量が縮小し、価格の伸び悩みに直面し続けることは不可避な状況であり、国外市場の開拓に力を入れる必要があると強調した。そのためには、(1)HACCP対応(2)品質保存方法(3)マーケティング、という3つの課題があるという。