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食品開発展2012が開催

 健康・機能性食品素材の展示会「食品開発展2012」が東京ビッグサイトで10月3日から開催されている(~5日まで)。製油・油脂関連メーカーも多数出展している。

 J-オイルミルズは、スターチ部と健康食品部で共同出展した。特に注目を集めているのが、今春上市したレジスタントスターチ(難消化性でん粉)を豊富に含むコーンスターチ「アミロファイバーSH」だ。レジスタントスターチは、通常のコーンスターチには0.3%しか含まれないが、40%程度含むハイアミロースコーンスターチを原料に使用し、独自技術で難消化性を高め、レジスタントスターチの含有率を70%としたものだ。レジスタントスターチは、小腸で消化・吸収されず、大腸に届くことで、血糖値の上昇抑制やプレバイオティクス効果、脂質代謝の改善といった現代人が必要とする様々な健康機能を発揮する。「アミロファイバーSH」は、小麦粉や米粉と任意の割合で置き換えることができる。また、不溶性の食物繊維とくらべてサクサク感やベタつき、風味を損ねるようなこともなく、パンやめん、菓子など幅広い用途に使える。化学修正をしていないため食品添加物ではないことも特長となっている。
 また、ビタミンK2やトコフェロール、サポニンなど製油工程で併産される生理活性成分の提案も行った。特に、ビタミンK2では、骨中のコラーゲン産生機能についても新たな知見を紹介した。

 辻製油は、高機能レシチンやコーンセラミドに加えて、今年新たに立ち上げたシーズニングオイル事業を紹介した。
 同社のシーズニングオイルは、搾り立ての植物油と天然由来の原料へのこだわりを特長としている。「葱油」や「ローストオニオンオイル」のような定番シーズニングから、和洋中のメニューに合わせて「バジルオイル」「醤油漬けにんにくオイル」「ポルチーニ茸オイル」「ししとうオイル」「オイスターオイル」「ペペロンチーノオイル」といった10種以上のサンプルワークを始めた。近年同社は、三重県の地場の産物を使った循環サイクルへの取り組みを強化しているが、シーズニングオイルでも同様に、県内の未利用農地の有効活用につなげたいという思いもあり、例えばバジルオイルの原料として使うバジルを県内で生産することも検討している。
 「ペペロンチーノオイル」は、三重県・大台産の4種の唐辛子を使っている。パスタやピザに使用するタバスコの代わりのテーブルユースという新しい提案も行っている。ラーメンチェーンや洋食系のファミレスへの提案を中心に営業していく。シーズニングオイル事業全体で初年度年間5トンの販売をめざす。

 築野食品工業は、フライ特性に優れたコメ油と、フィチンなどコメ糠に含まれる機能成分を紹介。築野食品工業、築野ライスファインケミカルズで向かい合わせにブースを展開した。
 築野食品工業のブースでは、フライドポテトの実演を交えながら、長時間フライ調理した際に、他の油に比べて臭わない、へたらないといったコメ油の特性を紹介した。また、築野ライスファインケミカルズのブースでは、飲料向け等のph調整剤としてフィチン酸の呈味改善作用を提案した。クエン酸を使った場合と比べて、同じpH3.5でも酸味のないまろやかな味質を実現できる。例えば、メロンジュースや桃ジュースといった酸味を抑えたい場合でもpHを確保しながらまろやかな味質に仕上げられる。また、水煮野菜やドレッシング、タレ類でも同様の使い方ができる。
 クエン酸と比べて単価は高いが、例えばpH2.3にする場合、添加量はクエン酸の1/4程度でよく、コスト増をある程度抑えた使い方も可能だ。

 日油は、 コリン補給剤として注目されるα-GPCや、細胞膜を構成するリン脂質PSで新たな製品を開発した。α-GPCでは、打錠用の「タブウェルコートGPC30」を上市しており、運動と組み合わせて摂取することにより脂肪燃焼を促進する機能を提案している。また、PSについては、新たに水溶性製剤の「ネオリキッドPS」を開発し、飲料やゼリー向けへの利用を容易にしている。PSは認知症に対する臨床報告も数多く発表されており、記憶力などの脳機能に重要な役割を果たす成分として認知が高まってきている。水溶性製剤によって、高齢者向けの介護食分野への利用がさらに進むことが期待される。

 ADEKAは、大麦や黒酵母由来のグルカンを紹介した。βグルカンには、抗メタボリックシンロローム作用や整腸作用、腸管免疫調整作用が報告されている。黒酢ドリンクやパンなどへの利用が徐々に進んでいる。
 味の素は、各種アミノ酸やアスパルテーム、カプシエイトを紹介した。アミノ酸では特に、エナジードリンクやサプリメント素材として注目されているアルギニンの機能提案に注力している。また、また、アルコール対策食品としてのアミノ酸の機能についても紹介した。
 カネカからは、カネカフロンティアバイオ・メディカル研究所が出展し、菊花ポリフェノールや小豆酵素分解物(ペプチド)、新規機能性乳酸菌など同研究所発の機能性食品素材を紹介した。
 キユーピーは、卵白ペプチド「ペプチファイン」やヒアルロン酸の提案を行った。

 美容飲料・食品分野の開発も活発化しており、化粧品原料メーカーも同分野での取り組みを強化している。一丸ファルコスは、NF-κBの転写亢進抑制により肌の光老化を防ぐアーティチョーク葉エキス「シナロピクリンF」、保湿効果からシワ改善作用を有する米由来のセラミド「フィトセラマイド」、たるみのほか肌の再生素材としてサケ鼻軟骨由来の「プロテオグリカンF」、そして、美肌素材として知名度の高い国産豚由来の「プラセンタパウダーP-100(NS)」を美容・アンチエイジング素材として提案した。
 また、香栄興業は、メロン胎座由来の植物プラセンタの紹介を始めた。北海道産のメロンを原料に使用している。メロンジュースの副産物として胎座(種の周りの部分)が出てくるが、従来有効活用されていなかった。胎座を急速冷凍して、その後酵素失活処理を行って、メロンを食べた後に喉がイガイガする不快感も抑えた。この植物プラセンタも、エストロゲン用作用や美白作用(メラニン産生抑制)があることを確認している。動物性プラセンタと比べて、ニオイが気にならないことが最大の特長で、ゼリーやドリンク向けにも適している。