第36回日加なたね予備協議が7月25日にカナダ・アルバータ州グランド・プレーリー市で開催され、その報告会見がが8月7日に農水省で行われた。同予備協議で日本代表団の団長を務めた宮川愛浩日本植物油協会国際部会長(J-オイルミルズ)、吉井昭油糧輸出乳協議会雑原料委員長(三菱商事)らが出席し、協議の概要については日本植物油協会の神村義則専務理事が報告した。
同予備協議では、「日本の油糧種子及び植物油の市場展望について」「2012年上半期に輸入した菜種の品質について」「菜種生産及び危機管理に対する生産農家の見解について」「2012年産菜種の需給展望について」「カナダの穀物等の物流及び産業界の最近の動向について」「中国とのBlackleg問題の共同研究に関する中間報告」の6つの議題について討議された。
2012年のカナダのナタネ生産量は1,650万トン超の史上最高水準が見込まれている。同国輸出業界による2012/13年度の需給予測は表の通り。高収益性が続いていることからナタネ生産はここ数年大きく拡大している。さらに今期は、土壌水分も十分に確保され、例年のような播種不能や生育遅延はわずかで、収穫面積は前年比117.0%の2,084万8,000エーカーと予想されている。単収予測は平年並みの35.0bu/エーカーに置かれたものの、作柄については極めて楽観的な見方が示された。その反面、農家の投資額も過去最高水準にあり、ナタネ相場の変動を含めて農家の経営リスクは高く、「掛け金の高いポーカーの席に座っているようなものだ」とカナダ菜種生産者協会のTodd Hames会長は語ったという。
カナダ菜種協会は「Canola Growing Great 2015」を掲げて、2015年に1,500万トンの生産量を目標としてきたが、カナダの国内搾油、輸出需要も着実に増加している。700万トン超とみられるカナダ国内の搾油工場の操業率は平均90%に達している。米国でも各社が搾油能力の増強を進め、ブンゲは年間80万トン、リチャードソン・インターナショナルは100万トン、ミネソタ州にあるノース・アグリは36万トンの搾油能力に達しているという。
2011/12年の輸出量は過去最高に到達する見込みで、さらに2012/13年の輸出量も増加が予想されている。2012/13年の輸出予測の内訳は、日本222万トン(前年224万8,000トン)、中国292万トン(同278万トン)、メキシコ141万7,000トン(同137万3,000トン)、米国40万3,000トン(同42万5000トン)、パキスタン67万トン(同47万7,000トン)、UAE83万3,000トン(同69万5,000トン)、バングラデシュ18万3,000トン(同20万1,000トン)、EU30万8,000トン(同21万4,000トン)。
中国沿岸部のナタネ搾油能力が500万トンと推定されており、カナダの輸出業界筋は400万トンの輸出を見込んでもおかしくないとしながらも292万トンに予測を置いている。1,650万トン超の生産量をもってしても、供給力が輸出の制限要素になるかもしれないという問題が生じ始めているという。
2012/13年度の期末在庫率は4.7%と引き続きタイトな需給バランスが見込まれている。
カナダのナタネ需給 |
(単位:千トン) |
|
2010/11 |
2011/12 |
2012/13 |
期首在庫 |
2,125 |
1,391 |
532 |
生産量 |
12,327 |
14,619 |
16,548 |
輸入量 |
235 |
124 |
183 |
供給量合計 |
14,687 |
16,134 |
17,262 |
国内搾油量 |
6,190 |
6,828 |
7,203 |
種子・飼料用 |
321 |
363 |
324 |
輸出量 |
6,785 |
8,412 |
8,955 |
需要量合計 |
13,296 |
15,602 |
16,481 |
期末在庫 |
1,391 |
532 |
781 |
*10/11、11/12はカナダ統計局 12/13は輸出業界各社予測の平均値 |