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おいしさも健康も妥協しない「キユーピーライト」
変化見据えた「キユーピー ノンオイル」の改良

キユーピーは7月19日、仙川キユーポートにおいて、2017年秋発売家庭用調味料技術説明会を開催した。「キユーピーライト(カロリー80%カット)」のリニューアル経緯や「キユーピー ノンオイル」シリーズ強化の取り組みなどについて紹介した。
「キユーピーライト」のリニューアル経緯や、ドレッシングタイプ調味料「キユーピー ノンオイル」シリーズの強化について、商品開発研究所調味料開発部の各開発担当者から説明が行われた。
 「キユーピーライト」は、同社で一番カロリーが低いマヨネーズタイプ調味料として2011年2月に発売された。マヨネーズを諦めた人やカロリーを気にする人をターゲットにした商品だが、近年、カロリー訴求マヨネーズに対しても味への要望が高まる傾向が見られ、カロリーが低いことよりも好きな味であることが購買動機として高くなっているという。そこで「キユーピーライト」は、「カロリーは最低を。おいしさは最高を」目指して改良に取り組んだ。
 油をさらに少なくしつつ、コクを高めることに障壁があった。そこで、「キユーピー マヨネーズ」のおいしさである濃厚な卵のコクとは何か、マヨネーズのコクの研究の成果に着目した。マヨネーズのおいしさの決め手はコクだが、コクには食感や味だけではなく、香りも影響している。この香りに着目した独自原料の検討に着手し、マヨネーズらしい卵の香りを詰め込んだ食用香味油「卵香味油」を新たに原料に加えることで、コクを向上した。
 一方、カロリーカットの可能性追求については、独自のマイクロエマルション製法と配合の工夫により、植物油の量を同社マヨネーズの20%未満に抑えながらも、マヨネーズらしいコクや口溶けを実現した。おいしさ研究による官能評価の結果も、既存の「キユーピーライト」に比べて、改良品は、たまご感やコク、おいしさが向上したことがデータとして見える化されている。その際、試作には100種類以上の配合を試したという。新しい「キユーピーライト」は、おいしさも健康も妥協しない、マヨネーズが好きな人に訴求していく。
 「キユーピー ノンオイル」シリーズには、すっきりとしたコクとうま味の“青キャップ”シリーズと、満足感のある(油を使ったような)コクとうま味の“銀キャップ”シリーズがある。ノンオイルタイプのドレッシングは1984年に同社が日本で初めて発売し、さっぱり味が好まれる夏場の使用が多かったものの、その後、通年使える調味料として認知が広がった。近年ではドレッシング市場の約2割を占めてきたが、昨年はその割合がやや減少する傾向が見られた。そのノンオイル市場の活性化も今秋のリニューアルの背景にある。
 青キャップシリーズについては、塩分控えめで、素材の特徴をより感じる仕立てをテーマに、また、銀キャップシリーズは基本設計として既存品も塩分控えめであり、今回は素材の風味の向上とラインナップ拡充をテーマに、それぞれシリーズ強化に取り組んだ。
 ノンオイルであることは、油に由来するうま味が少なく、塩分で風味を補う設計から抜け出せにくいが、だしや旨味の濃い食材を使ったり、香辛料や香りのある食材を使用することで、青キャップシリーズは塩分を控えて素材の特徴を活かす仕立てにリニューアルを図った。ドレッシングの味重視点としては、塩分が控えめであることはニーズとして顕在化しているニーズではないが、2015年版の食事摂取基準で食塩摂取量の目標値が男女ともさらに下げられ、食品表示法でも栄養成分表示において従来のナトリウムから食塩相当量に表示が変更されるなど、食塩への意識は今後さらに高まると予想される。減塩ニーズに関して今後の変化を見据え、青キャップシリーズはリニューアルを実施する。
 一方、銀キャップシリーズは、おいしさ研究を生かし、素材の特徴を引き出した。例えば旧商品の<ごま>は、ゴマの香り立ちを高めて<香りのごま>に商品名を変更するが、ここでもおいしさ研究チームによるおいしさの見える化が役立てられている。<4種のリーズ>や<フレンチたまねぎ>もそれぞれ素材の特徴を生かす仕立てに改良されている。また、和風フレーバーに対する要望が高いことから、新たに<和風たまねぎ>を発売する。ロースト玉ねぎのコクのある味わいや、だしの風味で後味に深みのある味わいで、野菜から肉、魚まで幅広い食材をおいしく食べることができる仕立てとなっている。