ADEKAは３月27日、東京・荒川区の同本社において「2018年度RISU BRAND新製品発表会」を開催した。
　発表会の冒頭、斉藤隆浩食品企画部長が挨拶を行い、業績や販売方針などについて説明した。同社は中長期的な方針「ADEKA VISION 2025」の達成に向け、2015～17年度の中期経営計画「STEP 3000-Ⅱ」を推進してきた。斉藤部長は「コア事業を中心とした規模拡大の方針の下、樹脂添加剤、食品事業を中心に成長分野への投資を行った。食品においてはシンガポールに加工食品の製造ラインが稼働した。第３四半期の食品事業の連結業績は増収増益になった。国内基盤強化、海外展開加速、事業領域拡大方針の下、販売強化による規模の拡大を国内外で進めてきた。原材料の高騰、特に海外乳製品の高騰で利益面は苦戦しているが、規模の拡大は一定の成果をあげている」と評価した。
　規模拡大の牽引役を果たしているのが新製品で「2017年度は７品目、2018年も８品目を上市する。顧客に直接触れ合う営業マンや食品開発研究所スタッフがニーズを取り込んで形にしていく姿勢が品目数にあらわれている。2017年度は計画を上回る見通しである。その中で、加工食品製品を当社は持っているが、前年増分の約６割を2017年度新製品が占めている。2016年度新製品を加えると７割強で、その寄与率は高い。新製品についてはコンセプトを重要視している。当社の新製品が取引先やその商品にとってどのような価値があり、貢献できているかという点である。2017年度の販売量を見ると、この点を丁寧に顧客に伝えることができた結果であろう」との見解を示した。
　2018年度の新製品には、練り込み用マーガリン２品、折り込み用マーガリン１品、風味ファットスプレッド（フィリングクリーム）１品、機能性練り込み用クリーム１品、ロールインフィリング１品、クリームチーズ風味ペースト１品、冷凍抹茶ケーキ生地１品をラインナップした。その中で、練り込み用マーガリン「コンツェル」、デニッシュ生地専用の練り込み用マーガリン「エレバールクレア」、折り込み用マーガリン「オリンピアエフィーユシート」、機能性練り込み用クリーム「ビオラモイスト」について、奥村佳史第一食品開発室長が技術説明を行った。
　「コンツェル」（荷姿：10kg段ボール）は、パンのソフト性が持続して、歯切れ・口溶けの良いパンを作る練り込み用マーガリンだ。ソフトな食感に仕上げるマーガリンを同社はこれまでも開発してきたが、今回はソフトな食感に加えて、歯切れ・口溶けの良い食感のパンが作れる設計になっている。また、作業性が非常に良く、パン生地に練り込まれ易く使いやすい。さらに乳化剤を不使用とした。
　「エレバールクレア」（荷姿：10kg段ボール）は、ジューシーなデニッシュを作るデニッシュ生地専用の練り込み用マーガリンという新しい提案を行っている。「生地や折り込み油脂の風味を引き出して、乳の味わいを補助するような味の付け方もしている。また、低温で生地に良く分散して、非常に使いやすい設計とした。その結果として、歯切れの良いジューシーな食感のデニッシュができる」という。風味は一般的なマーガリンに比べると、ミドルからラストにかけての風味が非常に豊かに出るため、風味全体を底上げできる。合わせて使用する折り込み用油脂の風味の底上げも図れる。また、バター同様に焼成後に固液分離を起こしやすい油脂の設計になっているため、乳脂肪のジューシー感を再現できる。
　「オリンピアエフィーユシート」（荷姿：15kg段ボール(１kg×15)）は、ボリュームがあり内層が明瞭なデニッシュを作る折り込み用マーガリンとなっている。甘みのあるバターの風味で、微細結晶技術を利用しているため伸展性が良く、コシがあるので使いやすい。その結果として内層が明瞭なボリュームがあるデニッシュができる。「従来品ではブチブチと切れやすい層になるところが、オリンピアエフィーユシートを使うと切れずにきれいな層ができる。また、製パンには30数度の温度をかけるホイロ工程があるが、その過程でも油脂の分離が少なく、パン生地同士の結着を抑制する」というように、ホイロ耐性があるため、明瞭な積層構造を維持できる。
　「ビオラモイスト」（10kgBIB）は、しとり感があり、歯切れ、口溶けが良いパンを作ることができる練り込み用クリームだ。「名前からもわかるように、水分保持に着目して作った製品。焼き立てのパンのしっとりとした感じを持続させる練り込み専用のO/Wの乳化クリームになっているので、非常に使いやすい物性と考えている」という。パンの老化防止、乾燥防止の効果があり、焼き立てのパンの食感が持続する。また、もともと水分が少ない冷凍生地を使ったパンのパサつき防止や、レーズンやナッツを使用するパンなど、経日的にパサつきやすいパンにも効果がある。