• 団体

日本水産油脂協会が講演会

 日本水産油脂協会は8月22日、東京・表参道のアイビーホール青学会館で「平成24年度水産油脂資源講演会」を開催した。
 今年は「三陸沿岸における水産加工業の現況と復興」(東京海洋大学海洋科学部の濱田武士准教授)、「マイワシ資源と気象変動‐ハワイ沖の風との関係‐」(独立行政法人水産総合研究センター東北区水産研究所資源海洋部の斎藤宏明グループ長)、「原発事故に伴う放射性物質の海洋生物汚染」(東京海洋大学海洋科学部の石丸隆教授)という3題の講演が行われた。
 濱田氏は、東日本大震災による復旧の状況について解説した。東北地方では、設備や機器だけで約1,600億円の被害が生じたという。設備や機器だけではなく、原料・半製品・製品在庫も相当な被害があり、この処分が大きな問題となりかなり手間取ったと強調した。被災地の復旧状況については、地域間で大きな差があり、岩手県の釜石では16の水産加工工場が被災前にあり、9の工場が再開しているが、宮城県気仙沼地区では震災前に280の水産加工流通業者があったが、再開したのは80業者に留まっているという。産地では、多重ローン問題、用地問題、雇用問題、顧客離れ問題、放射能問題などを抱えていると指摘した。
 斎藤氏は、ハワイ海域の風の変化とマイワシの資源変動との関連のメカニズムについて解説した。石丸氏は、原発事故による放射性物質の海洋生物の汚染状況について説明し、多くの魚類では放射性物質の濃度が下がっているものの、ブンブクやゴカイ類など底生生物については濃度が下がっていないと指摘した。