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東京油問屋市場が第113回起業祭を開催

 東京油問屋市場は3月25日、東京・蛎殻町のロイヤルパークホテルにおいて第113回起業祭を開催した。
 第1部の式典・立会いでは、はじめに宇田川公喜理事長が式辞を朗読。1660年に前身組織の江戸油仲間寄合所を開所して353年、東京油問屋市場113年の歴史を振り返り「伝統の歴史と新しい時代の流れに順応して、製販懇親・融和の実をあげつつ、油脂業界の振興発展に寄与していく」と述べた。
 続いて行われた立会いでは、メーカー各社が4月からの値上げを表明する中、大豆油・菜種油・菜種白絞油斗缶の建値をそれぞれ300円上方修正したほか、パーム油精製16kgは200円高、オリーブ油はキロ当たり200円高にそれぞれ上方修正した。
 金田雅律建値委員長は「シカゴ大豆は昨年17ドルを超える史上最高値という状況があった。そこからは確かに下がったかもしれないが、まだ14ドル台という高値にある。そして昨年12月の選挙以降、約2割の円安になり大変厳しい。原料だけでなく、ドルベースのすべてのものについてコストが上がっている。14ドル台の大豆に2割を掛けると17ドルを超える数字になり、大変高い中でメーカーもコストをいかに吸収するか、苦労されている。国内の景気対策はこれからが本番であり、その前に円安が先にきてしまっており、景気が良くなるのに半年なのか1年なのか不透明だが、この間はわれわれ油脂業界としては大変つらい時期になろうかと思うが、製販ともに手を携えて、価格転嫁あるいはコスト吸収していく努力をお互いに協力していかなければならない」と語った。
 第2部の講演会では、毎日新聞社主筆でTBS「サンデーモーニング」「ニュース23」でも活躍している岸井成格氏が「混迷政治と安倍内閣の行方」をテーマに講演した。
 その後、第3部の懇親パーティに場を移し、はじめに宇田川理事長が挨拶を行った。同市場の前身である江戸仲間寄合所を開所した万治の前の元号は明暦だったが、短期で改元された。ロンドン大火やローマ大火と並ぶ世界三大大火と称されることもある明暦の大火では、江戸の町の6割が焼失し、そうした災異のため「よろずおさまる」の意から万治に改元されたといわれている。「その後、尾張、紀州、水戸の御三家も江戸城から出て、江戸の町並みの区画整理が進んだ。火事に備えて火除け地や延焼を避けるために上野広小路などができたのが1660年のことになる」と歴史をひも解いた。一方、起業祭の時期に桜が満開を迎えたのは2002年以来のことだ。「ソメイヨシノは観葉種で、実はつかない。私ども油屋は実と種を搾ったものを売ることを生業としている。今、油脂原料価格が高騰、高止まりをしており、昨年来からの急激な円安など、油脂を取り巻く環境はさらに厳しい。価格の改正、是正はまったなしの状態になっている。本日の建値立会いにおいて大豆油、ナタネ油とも300円高としたが、今後とも製販一体となって、適正油価の構築に努めていく」と語った。
 続いて来賓を代表して日本植物油協会の今村隆郎会長が祝辞を述べ、全国油脂販売連合会の浅井修会長の乾杯の音頭で懇親に入り、同市場の館野浩一副理事長の油〆で散会となった。