日油協が平成25年度通常総会を開催
透明性の高い競争と秩序ある協調で切磋琢磨をと今村会長
posted on : 2013.05.27
日本植物油協会は5月23日、東京・千代田区の経団連会館において平成25年度通常総会を開催した。平成24年度事業報告・決算、公益支出計画実施報告、平成25年度収支補正予算について原案通り可決承認した。会員企業の役員人事などにともない、理事・監事の補欠選任について審議し、海老原善隆理事(不二製油会長)、神村義則専務理事、垂水龍介監事(ボーソー油脂社長)の退任を了承し、新理事に清水洋史氏(不二製油社長)、齊藤昭氏、新監事に片岡治男氏(ボーソー油脂専務・6月に同社社長就任予定)を選任し、理事会で齊藤昭氏の専務理事選任を了承した。
総会後の懇親会で、今村隆郎会長は「昨年5月、日本植物油協会50周年記念祝賀会を兼ねたこの場で、会長就任の報告とともに、世界の変化は速度を速めるだけではなく、同時多発的な傾向を強めており、それを克服できなければ取り残されてしまうという趣旨の挨拶をした。しかし、そのわずか1~2カ月後に大変厳しい状況が待ち受けていた。56年ぶりと伝えられる米国の大干ばつだけでなく、世界の主要農業国で異常気象が同時多発し、農産物生産に多大な打撃を与えた。農産物の国際需給は一挙にひっ迫状態になり、大豆の価格は史上最高を更新し、ナタネの価格も上昇を続けた。これらは今なお大きな衝撃として記憶に残っている。その一方、デフレ状態が続く国内の商品市場は活性に乏しく、国際市場の変化を受け止める弾力性を欠くものだった。原料のほとんどを輸入に依存する食品産業として、このような国内外の情勢のギャップは私どもの産業活動の大きい足かせとなった。加えて、原子力発電所の操業停止にともなうエネルギーコストの上昇にも悩んだ。しかし、その中にあっても、消費者や顧客の皆様へ製品の安定供給の責務を果たせたことは、製油業界として誇りとするべきものであった」とこの1年を振り返り、「農業とは限りある農地資源、代替性のない水資源、燃料や肥料の原料となる化石資源が適正に分配され、しかも天候が順調でなければ成立し得ない産業であることを改めて確認致した。農業が供給する食用資源を超えて食品産業が発展することはありえないという事実をしっかりと認識したところだ」と語った。
一方、今村会長は、昨年12月に発足した安倍政権による政策がデフレからの脱却につながることに期待を示したものの、「反面、円安は原料取得コストの上昇として直接的な影響を製油産業に与えているのが現実であり、国内市場に活気が戻るまで、私どもはなお耐え抜かねばならない」と、当面は厳しい現実に直面するとの見方を示した上で、「本年は、世界の天候が安定し、農業生産が回復することを祈るばかりだが、一方ではTPPへの参加など新たな課題も浮上した。日本植物油協会の会員企業はこれらの状況を十分認識し、これまで以上に透明性の高い競争と、秩序ある協調を基本に切磋していく所存だ」と述べた。
また、懇親会では、16年間にわたり務めた神村専務理事に、アメリカ大豆輸出協会とカナダ菜種協会から感謝状と記念品が贈られた。