油脂未来研究会が研修会で竹本油脂新工場を見学
posted on : 2014.06.24
全国油脂販売業者連合会の若手経営者らで組織する油脂未来研究会は6月18日、愛知・蒲郡の竹本油脂亀岩工場で研修会を開催した。
竹本油脂は、亀岩工場敷地内にゴマ油製品を製造する新工場(第二工場)を建設し、今年3月より本稼働に入っている。研修会では、はじめに竹本油脂の竹本信二郎取締役専務執行役員が挨拶し、「新工場はこの3月から稼働し始めたが、ゴマは世界的にも希少な油糧原料になり、値段が上がり下がりしていたのが最近は上がりっぱなしで困っている。その結果、当社も水面どころか水中深く潜って息ができない状態で、事業が立ち行くのかどうかという採算状況になっている。(原料相場は)どうも下がらず、ゴマ油の価格水準が少しズレるような形にならざるを得ない状況だ。まだ情報発信が不十分で、今年前半も皆さんにご苦労をおかけしているが、まだ十分ではない」と原料相場の高騰への苦心を述べた。また、「こんな状況ではやめてしまえという世界もあるが、ゴマ油は当社の本業であり、死ぬ気で供給するため、市場で死ぬ気で(原料)ゴマを買っている。そうした状況にあるが、供給し続けることはお約束する。当社のゴマ油に対するコミットメントは強固であり、その意味も含めて第2工場を建てた。さらに増強スペースも十分に用意してあり、売れて売れて困っても大丈夫という状況だ。ゴマ油の可能性を信じており、ご支援をお願いしたい」と語った。
今回、油脂未来研究会が見学したのは、第二工場。亀岩工場内の既存設備の将来的な更新を視野に置き、さらなる安定供給をめざす最新設備だ。生産能力は年間約5,000トン規模となっている。西側を海に面して、奥行き45m×橫130mと横長の建屋が特徴的で、右(北)から左に向かってラインは設計されている。原料受入から選別、焙煎、圧搾、濾過それぞれの工程は完全にゾーニングされ、衛生管理を徹底しており、品質はもとより食品としての安全・安心への配慮が見て取れる。
原料は名古屋港にある倉庫に50kgの袋詰で保管されており、工場で使用する際にコンテナにバラ積みしてトラックで輸送する。原料受入口は2つあり、それぞれ18トン級のコンテナ車がそのまま入れる仕様になっている。
その後、原料の選別が行われる。選別の処理能力は6トン/時。選別工程では、原料ホッパーから中間タンク、デルタ精選機を経て、ゴマより軽い夾雑物を吸引したり、ゴマの粒より大きい・小さい夾雑物を除去する。そして、ハイド石取機やマグネットストーナーで、原料ゴマに紛れている夾雑物や石、鉄を取り除き、原料サイロへと送られる。
ゴマは選別後、エア輸送によって原料サイロに送られて保管される。エア輸送を用いるのは、ゴマが配管に残らないようにするためだ。原料サイロは60トン×5基あり、トレース対応のために原産地ごとに分けて管理されている。
焙煎工程では、ロータリーキルンが用いられる。ロータリーキルンは釜の内側をゴマ、外側を熱風が通る二重構造になっている。焙煎設備があることからわかるように、第二工場は焙煎ゴマ油専用工場となっており、生搾りの「太白胡麻油」の製造ラインは既存工場にある。
そして焙煎後、冷却したゴマを一度蒸して油を出やすくする。焙煎・圧搾は月~金に連続稼働。一番搾りと二番搾りをそれぞれ2機で行っており、4トン/時の能力となっている。
竹本油脂は、安心で安全なゴマ油を供給するために、その製造方法にも頑ななこだわりを持っている。搾油工程を例に挙げると、ゴマ本来の旨味を活かすために、溶剤抽出を行わず、圧搾法にこだわって製造を続けており、第二工場でも圧搾のみでゴマを搾油している。
その後、圧搾されたゴマ油は濾過工程に送られる。濾過工程では3回濾過を行う。第二工場のオペレーションは、原料からの搾油までを2名、濾過工程を1名の合計3名が24時間3交代制で行われている。第二工場の中には、現在東側3分の1の面積に1ラインのみが設置されており、もう2ライン増設する余地がある。
その後、亀岩工場内の既存の充填設備を見学した。充填ラインは4ライン。200g瓶などに充填するBラインは、約200本/分の能力、1升のポリボトル充填ラインは60~70本/分となっている。
また、竹本専務は第二工場の特長として、大規模地震や津波等の災害に強い工場であることも強調した。サンドコンパクションやCi-CMC工法などを取り入れた。
工場見学後には、「太白胡麻油」や「太香胡麻油胡麻油」「純正胡麻油ゴールド」といった竹本油脂のゴマ油製品などゴマ油の香りと風味の違いを確かめる試食会が行われた。同社は卵かけご飯や冷奴にゴマ油をかけて食べる用途など、新たな需要開拓に力を入れている。
見学会を終えて、油脂未来研究会の木村顕治会長は「これを機に、ゴマ油の拡販に(一同)励めると思う」と、感謝の言葉を述べ、散会した。