• 油脂のトピックス

コーン油

 コーン油は、風味良好な植物性油脂であり、マーガリン類やマヨネーズ、飲食店のフライ油など業務用・加工用を中心にプレミアム性の高い油として幅広く利用されている。家庭用の需要は、数千トン単位に留まっている。
 コーン油は、製造時コーンジャームの副産物といった性格を備えており、原料のコントロールには難しい部分がある。年間8~9万トンの生産量があるものの、原料の発生時期と油の需要期が異なっており、需給のバランスのためには、ある程度の輸出入を常に必要としている。
 2000年から10年まででは、01年に7,342トンを輸出、05年に3,686トンを輸入、06年に6,049トンを輸出、09年に5,143トンを輸出し、需給変動に的確に対応した。09年の場合は、リーマンショックによる経済不況の影響でコーン油の需要が減少し、輸出せざるをえなかった。コーン油メーカーのタンクは小さく、在庫量が1万トンを超えると輸出対応が必要となってくる。
 コーン油の需要については、製油メーカー向けが全体の約半分(4~5万トン)を占めている。製油メーカー向けは、業務用の斗缶での利用が比較的に多い。近年は、買い油のコーン油よりもミールの販売がある豆・種油の販売を優先する傾向が強まってきている。
 家庭用マーガリンメーカー向けは、約1万トンの需要がある。大手メーカーの主力商品に採用されている。家庭用マーガリンの市場が縮小傾向にあることから、同分野におけるコーン油の消費も減少しているとみられる。
 原料面をみると、コーン油の原料となるコーンジャームは、コーンスターチの需要動向に左右される。コーンスターチは、年間約224万トン(21でん粉年度)の需要があり、その約60%を糖化製品が占めている。糖化製品向けの中でも異性化糖の需要が大きい。異性化糖は、清涼飲料水や酒類などに多く利用されている。
 近年のコーンスターチの需要は、不況による製紙の消費低迷、清涼飲料のカロリーオフ商品の増加、ビール類の出荷減少などの影響で、5年前に比べて1割強減少している。
 スターチ需要の減少を受けて、コーン油の生産量も2000年代以降のピークの10万6,217トン(2001年)を境に緩やかに減少している。2010年のコーン油生産量は8万4,389トンで2001年と比較して約2割ダウンしている。
 ところで、他の植物油と同様にコーン油の価格は四半期毎に決定されるが、この際にコーン油自体の需給も需要であるが、大豆油とナタネ油の価格差をどのように保つのかが需給調整の上で重要である。近年は、相対的にコーン油に割安感が出やすくなる傾向がある。豆・種油の価格が乱高下する時期は、コーン油の商談が豆・種油より先行して決まるため、豆・種油との価格バランスが難しくなってくる。

     コーン油の生産量と輸出入量    
                  (単位:トン) 
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    原料処理量  油生産量    輸入    輸出 
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2000   214,123   100,437      63    7,342
2001   219,574   106,217     158    2,612
2002   210,629   101,283    1,570     959
2003   209,431   100,373    1,752     759
2004   201,871   95,243    2,433     21
2005   202,798   95,982    3,684     23
2006   217,282   101,734      110    6,049
2007   207,762   97,852     548     858
2008   203,482   95,818     362     148
2009   182,567   85,962     153    5,143
2010   182,647   84,389     478     539
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(資料:農林水産省、財務省)