オリーブ油
posted on : 2011.08.24
元来オリーブ油は、主に地中海沿岸の地域で主に生産消費される作物であったが、1990年代後半に入ってから世界各国の需要増に応える形で、主産地のスペイン、イタリアを中心に欧州各国の生産量が拡大されていった。
90年代前半までは、世界の生産量は150~200万トンであったが、90年代後半には200~250万トン台、2000年代前半は250~300万トン台、2000年代後半も同程度の水準で推移し、近年はやや成長速度が鈍化したものの、生産量は伸び続けている。2010/11年の生産量は、約295万トンと見込まれている(世界オリーブ理事会=IOC推定)。
近年は、北アフリカや南北米などEU以外の地域における生産量が伸びてきているものの、やはり欧州、中でもスペインの生産比率が高い。
スペインの生産量は、世界の約4割を占めており、世界のオリーブ油の市場はスペインの動向に左右されるといっても過言ではない。同国では、近年、収穫作業の機械化が進みつつあり、生産の効率化が図られつつある。
イタリアは、スペインに比べて生産量は半分以下に過ぎないが、供給の不足分を輸入で補っている。優れたブレンド技術により、イタリア産のオリーブ油は、スペイン産と同等以上に評価されている。イタリアは、オリーブ油の輸出量では、スペインとほぼ同等の量である。
わが国の市場においてオリーブ油は、この20年間で飛躍的に成長したカテゴリーである。
1996年頃にテレビ番組でオリーブ油の健康機能が紹介されたことを契機に家庭用で大きく需要が拡大した。
その年には、日清製油(現:日清オイリオグループ)の「BOSCO」、味の素の「味の素kkオリーブオイル」などの新製品が投入され、各メーカーにより、積極的なプロモーション活動が展開された。
以前は業務用が中心の市場だったが、またたく間に家庭用が業務用と肩を並べ、そして近年では家庭用が業務用を完全に追い抜いている。
SCI調査によると、2010年(1~12月)の家庭用オリーブ油の市場規模は約1万7,000トン(前年比18%増)と推定されているが、実際には同調査に含まれない輸入品ブランドが数多くあり、家庭用需要はさらに数千トンの上乗せがあると思われる。
2000年以降、健康オイルの影響で一時期市場の伸びが止まっていたが、健康オイルブームが一段落したことなどにより、この1、2年は再び市場が成長のトレンドに戻っている。
2010年のわが国のオリーブ油輸入量は、3万9,703トンに達した。そのうち、イタリア産が1万9,768トン、スペイン産が1万6,585トンで、両国合わせて輸入全体の9割を超えている。
タイプ別では、バージン油が2万7,467トン、ピュアが1万2,237トンで、近年は家庭用でエクストラバージンが好調なことから、バージン油の輸入が大幅に伸びている。
家庭用では世帯購入率が半分近くまで上昇したが、ピュアとエクストラバージンの使い分け、産地や品種の違いまで消費者に十分認知されておらず、メーカーによる啓蒙活動に期待されるところである。
わが国のオリーブ油輸入量
(単位:トン)
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バージン その他 合計
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2000 13,054 14,275 27,329
2001 15,585 13,571 29,156
2002 17,174 15,125 32,300
2003 16,967 13,805 30,772
2004 17,274 14,435 31,709
2005 17,926 14,725 32,651
2006 16,807 12,978 29,785
2007 16,706 11,639 28,345
2008 18,336 11,294 29,630
2009 21,439 11,676 33,115
2010 27,466 12,237 39,703
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(資料:財務省「日本貿易統計」)