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 月島食品工業がパン・焼き菓子講習会を開催
 デイジイ・倉田氏が「バター不足に効くレシピ」を紹介

 月島食品工業は2月23日、東京・江戸川区の日本パン技術研究所内で「2012パン・焼き菓子講習会」を開催した。
 バター不足がベーカリーだけでなく食品業界全体の問題となる中、バター風味のマーガリンの開発が近年活発になっている。同社の「ラブール」シリーズは、独自の発酵技術による豊かなバター風味のマーガリンとして人気となっており、ラインナップの拡充を進めてきている。昨年12月には、バターの風味とともに、物性もバターに近づけた「ラブールガトー」(練り込み用)、「ラブールガトーシートV」(折り込み用)を発売した。
 今回の講習会では、デイジイの倉田博和氏を講師に招き、「バター不足に効くレシピ」をテーマに、ラブールガトーをはじめとした同社製品を活用したバターに頼らないパンや焼き菓子のメニュー提案を行った。

 講習実演では倉田氏がバケットやクロワッサン、ブリオッシュなどの作成デモンストレーションを行ったが、バターをまったく使わず、「ラブールガトー」「ラブールガトーシートV」を使用した。倉田氏はお店で、練り込みの場合は半分以上マーガリンを使っているという。「バター価格は約600円程度で、1日20ポンド使うとすれば1日1万2,000円になる。ラブールガトーはバターのだいたい半値くらいで、1日6,000円のコストの差が出てくる。1カ月で18万円、1年で216万円違う。これが3年続けば648万円の差がでる。コストを考えたら大きい。いきなり(バター100%使用から切り替えるの)は無理かもしれないけれど、半分バターとか、チョコなど香りが強い素材を使う場合にバターの香りが必要ないのだったらラブールガトーでいいんじゃないか。物性はバターと一緒だから」とバターと変わらない使い勝手とともにコスト効果の違いを指摘する。
 さらに「香りもそんなに(バターと)変わらないと思う。ぼくはおいしいと思う。だから、クロワッサンの本体だけはバターを使っているけど、他の素材を巻き込んだり、チョコレート(を使用する場合)とか、そういうものに関してはマーガリンを使っている。全然問題ないし、昔みたいな嫌な香りもない。乳業メーカーはもうバターを売りたくないんだから、それでレベルの高いものができるのだから、今後長い目で考えたら、ラブールガトーをお奨めする」と語った。

 今回使用した月島食品グループの製品の中で、倉田氏が「一番好き」と評したのが、コーティング用のベース素材「キャリオベーサー」だ。果汁などの含水食品を最大20%まで加えられるのが特長となっている。「ピューレの水分を入れても固まる。フランボワーズもそうだし、オレンジも苺も味付けが自由。20%水分を加えられるというのは、どんな味もつけられるので、これは面白いですよ」と倉田氏。

 また、開会挨拶を行った吉原力執行役員営業副本部長によると、同社グループの製品については、昨年末で約9割が低トランス脂肪酸対応となっており、今夏をめどに乳製品関連を含め全品で低トランス化をめざす。