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創立80周年迎える昭和産業「企業体質強化とスピードある対応を」と岡田社長

 昭和産業は2月5日、東京・千代田区の銀座アスターお茶の水賓館で記者会見し、第3四半期の業績や各事業部の概況について説明した。
 同社の平成28年3月期第3四半期の連結業績は売上高1,885億9,700万円(前年同期比1.2%増)、営業利益68億6,500万円(同6.8%増)、経常利益76億5,700万円(同7.6%増)、四半期純利益54億5,800万円(同16.3%増)の増収・増益となった。
 岡田茂社長は、年が明けて早1カ月、株安・円高の動きや芸能界・スポーツ界も揺れる話題が出ており「申年に相応しい騒がしい年明けかなと思っている。昨年、TPPの大筋合意があり、急激にではないが、これからも変わるだろうことは容易に想像でき、しっかりと経営していかないといけないと身を引き締めている」と挨拶した。第3四半期の業績については「売上高は過去最高。増収の主な要因は、マーケット分析力を生かして、シナジー効果を活用した提案型の営業活動に努めてきた結果、販売数量で製粉事業、油脂事業、飼料事業において前年を上回り、グループ全体では販売数量を3.4%伸ばすことができたためである。営業利益は、物流費等の販管費の負担増の影響もあったが、業務用を中心に販売数量が好調に推移した。通期の連結業績予想は、当初予定から変更はない。売上高2,550億円(前年比4.0%増)、営業利益80億円(同12.0%増)、経常利益88億円(同8.5%増)、当期純利益57億円(同7.8%増)を目指す」と語った。
 事業環境の変化では特にTPPの影響が懸念材料となっている。岡田社長は「TPPによる環境の変化を100%予測することは非常に難しい。予見はできないが、はっきり言えることは企業間の競争が今まで以上に一層厳しくなっていくだろうとは言える。これに当社としては打ち勝っていかなければならない。そのためには、企業体質の強化が必要であり、かつ、そのスピードが要求されてくる。いかにスピードをもって対応できるかどうかがポイント。これまでも中期経営計画に取り組んできたが、それらを引き続き強化したい」と述べた。
 その強化の一環として挙げたのは、今年10月に船橋工場内に開設を予定するRD&Eセンターだ。顧客とのコミュニケーションの場として、穀物ソリューションの提供の強化とスピードアップを図る考えだ。また、茨城県神栖市でセブン-イレブン・ジャパン向けの冷凍パン生地・菓子類を供給する新工場の建設を進め、2017年1月には実稼働する予定となっている。「『中期経営計画 12-16』は今年3月に4年目が終了し、4月から始まる新しい期が最終年度となる。また、合わせて今年は当社の創立80周年を迎える年(創立記念日2月18日)である。『中期経営計画 12-16』の達成と、この80周年を含めて90周年、100周年に向けてさらに発展させるべく全社員の力を結集して進んでいく」と語った。
 また、企業ブランド戦略については「当社は穀物の取扱量日本一をベースに多種多量な穀物を扱い、様々な製品を通しておいしさを届けるという昭和産業の特長を“穀物ソリューション・カンパニー”というブランドメッセージを通して、ステークホルダーに継続して発信している。企業ブランド戦略を通じて企業価値の向上を図り、ステークホルダーから選ばれる企業、社員が誇れる企業を目指し、全社員のベクトルを合わせてモチベーションを高めながら、一層の努力を重ねたい」と述べた上で、中国やベトナムなど海外事業における安心と安全の取り組みや、生産現場におけるエネルギーの効率化、また、商品開発やレシピ提案など部門間の総合力を発揮し、顧客に最適な製品づくりをサポートしていることを紹介した。