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辻製油が浜松町に東京事務所を開設
三重と関東全域・海外とをつなぐハブに

 辻製油はさらなる事業拡大を目的に、JR浜松町駅の金杉橋口を出てすぐの賃貸オフィスビル(PMO浜松町)に東京事務所を開設し、そのお披露目会を3月7日に行った。最上階の13階にあり、レインボーブリッジが望め、旧芝離宮恩師庭園を間近に見下ろせる素晴らしい眺めもさりながら、羽田空港へのアクセスも大変良い立地となっている。
 この東京事務所開設の意義について、辻威彦社長は「当社もこれからは国内はもとより海外にも展開していくことが必要と思っており、東京事務所をハブにして、関東全域と、海外の方にも色々と展開していきたい」と語った。2009年に東京の営業拠点を閉じた後は、三重県に本社・工場を構えていることもあり、東京をはじめ最大消費地の関東では商社・問屋の力を借りて営業展開しており、「本体の営業の弱さを痛感している」ことも東京事務所を再開した理由。新たな東京事務所には、商社・貿易業務に長く携わった3名のスタッフを迎え、4月にはさらに1人の入所を予定している。
 辻製油は、コーン油、ナタネ油などの製油事業を最大のコアに、レシチン・セラミド等の機能性事業、柚子や生姜由来の香料等のアグリ事業をあわせて3つの柱をプラットフォームとしている。この3つの柱から派生する形で、調味料や化粧品といった個人向け商品の販売や、ミニトマト栽培といった連携事業も行っている。アグリ事業では、フレーバーオイルや唐がらしや柚子、生姜の顆粒調味料といった独創性のある商品を展開している。
 “人まねはしない、何処もできないことをやる”というのが辻製油の理念だ。市場を調査し、ニーズが見込めるものを開発して売るのが通常のマーケティング手法だが、同社の場合は“どこもやっていないからこそ、やってみる価値がある”とばかりに、次から次へと湧いてきたアイデアを商品化してきた。素材として持っているものをどのように販売していくか、という点で、国内だけにとどまらず、海外に向けて営業提案力を強化していくという意思が東京事務所開設に込められている。
 高機能レシチンでは、世界をリードする同社だが、フレーバーオイルや顆粒調味料等については「国内の売り上げは少しずつ伸ばしてきている。ただ、海外で和食産業が凄く伸びてきており、これから海外展開が絶対に必要になる。まずは、東南アジア、アジア、それからできれば欧州へも広げていきたい。現地の代理店のものを渡すだけではなかなか使い方が伝わらない。説明と営業活動をこれから東京事務所を中心にしていく」と辻社長は語った。また、本社スタッフのサテライトオフィスとしての機能や、BCP対応の意味もある。
 三井物産や浅井農園とともに事業展開する房どりミニトマトの生産・販売については、バイオマス上記や工場排熱を利用した1haの高軒高トマト栽培施設が現在2棟あるが、さらにもう1棟(1.4ha)の拡張を予定している。また、フレーバーオイルでは、業務提携関係にあるJ-オイルミルズの今春新商品「AJINOMOTO から揚げの日の油」に同社の生姜オイルが採用されている。素材メーカーとしての事業を海外にも広げていく考えだ。